キンチョールのにおい。
今晩は。
雨だ。雨であった。故に走りには行っていないが、これは仕方がないと言い訳が通用するではなかろうか。そうだ、実に仕方のないことである。従って家でのんびりと私の絶対的主人公の過去の物語を観ていた。有意義な一日である。
楽き日々の写真を見返しては余韻を引き伸ばそうとしている。どうか、覚めないでほしい。今宵も旅の中にいたい。
変な虫が大量発生している。名も無き謎の虫、害がある訳でもなく、ただひたすらに壁にくっ付いているだけの虫。しかし、いかんせん“ブーン”という音が耳に不快感を与える。蚊よりも僅かに高音なのだ、そして身体もデカい。よって目について気になる。そうして私は悠然とキンチョールを噴射した。
無駄な殺生をしない為にも、どうか入ってこないでいただきたい。常に最善の注意を払い、扉や窓の開閉をしている。だが!何故か、何処からともなく入って来てしまう謎の虫に一言伝えたい。勘弁しておくんなし。
有毒ガスを撒き散らす人間の私は虫にとって最大の恐怖であり、忌むべき存在であろうと思うと大層胸が痛んだ。すまない、と贖罪の念を抱えている。
明日は晴れるだろうか。