▽ ブドウに緑、

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秋刀魚の頭と骨と内臓を。

今晩は。

ふと己のiPhoneの音が右からしか出ていないことに気が付いた。いや、左側も音がでているかもしれないが、圧倒的に右側よりも音がしない。どうりで聴こえ方に偏りがあるなと思った。偶にお風呂へ連れて行っていたからか。まあ特に不便はないので気にはしていない。

 

秋刀魚をキレイに食べられるようになった。キレイというのは正真正銘、頭と骨以外の全てを食すことである。お箸だけでキレイに食べるのである。元々割とキレイに食べられる方ではあったと自負しているが、どうにも内臓部分が苦手だった。内臓特有の苦味が苦手で、口にすると思わず苦虫を噛み潰したような顔になってしまう。そんな私を見て父は「その苦味がお酒によく合う」と言った。がしかし私はお酒は飲めないため何の参考にもならなかった。そしてお酒好きの父は内臓を残していた。説得力が散っていった。

毎秋、内臓を口にする度、苦虫を噛み潰したような顔をしていては、些かスマートではないであろう。というのも昔、とてもキレイに秋刀魚を食べるおじさんを見た。たったそれだけのことで、そのおじさんの株価が私の中で急上昇した。スマートとはこういうことだ!と、あれから秋刀魚をキレイに美味しくいただけるスマートな大人に憧れている。未だあの時のおじさんのような最初から最後までキレイに食すおじさんを見ていない。敬意を払ってこれからはおじ様と呼ぶことにしよう。

そんなおじ様に憧れてはいるが、内臓はまだまだお子様舌な私には酷く苦く、澄まし顔で食べるどころか口にすることさえ憚られた。それでも食べ終えた後のお皿の上は頭と骨だけにしたい。という思いが私に力を与え、少しずつ食べる練習をした。食べられる量を増やし、時には大根おろしという強力なサポーターを味方に付けて、毎秋、内臓と向き合ってきた。

そしてようやく本日、私は秋刀魚に内臓部分をさして苦いと感じることなく、見事にお皿の上を頭と骨だけにしてみせた!よっ。拍手喝采である。無論、秋刀魚は格別に美味かった。

秋の訪れを強く感じると同時に私はスマートな大人の仲間入りを果たした。

 

途中、内臓という単語のせいで何の話か困惑しそうになるが、これはもっぱら秋の味覚の王様、秋刀魚の話である。

 

実のところ、今日も大根おろしというサポーターの力は借りている。が、その話はまあ此処では一旦何処かに置いておいてもいいんじゃあないかと思っているので書いた側から申し訳ないが、是非忘れておくれ。